いきなり何事かと思われるでしょうが、この「チキン野郎」が『チキン・ラン』のキーワード。
「チキン」とは臆病者をののしる表現ですが、その意味の通り『チキン・ラン』で勝ちたいならば臆病さを見せてはいけません。
足元を見られればジリ貧‥‥!!
あとは蹴落とされるだけ‥‥!!
そんな、度胸と頭脳で交渉を乗り切るカードゲーム 『チキン・ラン』 のご紹介です。
かわいい見た目ですが、ゲームはピリリと刺激的。
『チキン・ラン』はカードを使った自由交渉ゲームです。
プレイヤーは養鶏場の運営者となり、たくさんのニワトリを集めるべくゲーム開始時に配られる資金で他のプレイヤーからニワトリが描かれたカードを買ったり、逆に売ったりしていきます。
この売り買いが自由な交渉で行われるのですが、プレイヤーがゲームを理解するにつれて交渉はニワトリの売り買いにとどまらなくなっていきます。
そして交渉の末、自分以外の誰かが脱落すればゲーム終了。生き残りは全員が勝者となります。つまり、このゲームに勝つ方法は自分以外が負けること。ざわざわしてきますね。
基本的にはニワトリの売り買いが行われますが、ゲームが進むにつれて交渉にも熱がこもってきます。
次第に「私とだけカードの売り買いをして!」とお金で依頼したり、「あの人が持っているカード、知りたいですか‥‥?」と情報の売買を始めたり、と自由であるがゆえにギャンブル漫画さながらのスリリングな交渉戦に。
ちなみに交渉において嘘をつくことはルール違反。一度結ばれた契約は絶対。二転三転する状況の中で、ヒリヒリするほどの緊張感の中で、ニワトリとお金が行き交います。
このゲームの上質なスリルを生み出すのが、様々な効果を発揮するイベントカードとニワトリの数に応じて支払われる報酬・負債のシステム。そして、「チキン野郎」です。
イベントカードには状況を一変させる力があります。全員の手札を捨てさせたり、交渉を強制的に打ち切ったりとどれも強力。打消せるカードもありますが、運よく持っている保証なんてありません。
「ニワトリ買いませんか?」と言ってきたプレイヤーから何枚もニワトリを買ったところでイベントカードを使われて「全員、手札が3枚になるように捨ててください」なんてことも。
すべての算段が水の泡! 一体何がいけなかったのか!
相手を信用したこと? 打消しカードがなかったこと?
どちらも違います。このゲームにミスプレイがあるとしたら「ミスしてしまったと顔に出すこと」だけでしょう。「手札が3枚に? いやぁ、むしろ有利になったくらいですよ」と虚勢を張って交渉を続けることが勝利への道です。
交渉が終われば手札を公開して精算に入ります。最も多くのニワトリを持っている人には、それだけお金が入ってきます。
しかし! 二位以下は「ニワトリの分だけお金を払わなければならない」のです。
例えばニワトリを21羽持っているプレイヤーがいたら、20羽持っていても利益なし。それどころか20羽分の負債を抱える大打撃。資金が底を尽きれば破産! 脱落!
ならば、ニワトリを売るだけ売って1羽も持たなければ安全なのでは?
そんな甘い考えをするプレイヤーには「チキン野郎」の烙印が押されます。
ニワトリの数が最も少ないプレイヤーには「チキン野郎」カードが渡され、二回チキン野郎になってしまうと脱落です。
ニワトリを集めればそれだけの報酬が得られますが、一位になれないのならそれは負債の山に化けます。かと言って、逃げ出せばチキン野郎。
このジレンマこそ交渉をスリリングにするポイントだと感じました。
絶妙な勝利条件、報酬システムによってスリリングな自由交渉を楽しめるカードゲームです。イラストの可愛さも魅力的で、そのギャップも楽しさに一役買っています。
度胸とひらめきで勝負してみたい人、イラストにときめいた人は、ぜひ手に取ってもらいたい一作です。
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